燃焼時にCO2を排出せず、石油に代わる新エネルギーとして期待されるアンモニア。当社では、生成したアンモニアの圧送などに使われる圧縮機や、アンモニアの製造過程で発生するCO2を地下数千メートルの地層まで圧送し貯留するためのCCS（Carbon dioxide Capture and Storage:二酸化炭素回収貯留）用圧縮機を手がけています。こうした技術を生かして、将来的には、製造から使用までCO2を排出しない水素エネルギーを貯蔵するための水素圧縮機の開発も視野に入れ、カーボンニュートラルな社会への貢献をめざしています。

日立の創業製品であるモータや制御に不可欠なインバータは、時代とともに進化を続け、さまざまなフィールドへと活躍の場を広げてきました。低炭素時代を迎えた今、電動化は社会イノベーションの原動力。当社は、鉄道や風力発電、資源採掘用の大型ダンプトラックなど、あらゆる産業分野の動力となるモータや発電機のノウハウを持つ世界でも数少ないメーカーです。今後は、船舶や航空機など、より小型で高出力かつ過酷な環境での使用が求められる領域での実用化に向けて、新たな挑戦を続けていきます。

日々、膨大な量の荷物を扱う物流現場では、少子高齢化による人手不足やコロナ禍による人の非接触化などを背景に、倉庫の省人化や自動化が進んでいます。こうした変革を後押ししているのが、当社が開発した無人搬送ロボット「Racrew（ラックル）」です。現在は、製造業や小売業の物流拠点にも導入が広がり、生産効率の向上に大きく貢献しています。今後は、Racrewから得られるデータをもとにIoTやAIとの連携をさらに深め、どんな時も物資の供給を止めない物流システムの構築や、製造工場全体のスマートファクトリー化を推進していきます。

デジタル変革（DX）時代における最重要インフラともいえる大規模データセンタ（DC）。万一の停電などでDCがダウンすれば、社会システム全体がストップしかねないため、非常時でも電源を確保することが重要な課題になっています。当社では、停電時でもサーバへの電力供給を続けて、データを保護する大型データセンタ向けの大容量無停電電源装置（UPS）を提供。パワーエレクトロニクス技術を駆使して、大容量化・高効率化・小型化・省人化などのニーズに応えながら、信頼性の高い電源装置でICT社会の安定稼働を支えています。

近年、猛烈な集中豪雨による河川の氾濫や激甚災害が多発する中、当社では、気象予測やAIと連携してポンプの自動運転化をめざすなど、長年にわたって公共の治水や水道を支えてきた技術をさらに進化させ、より安全な社会づくりに取り組んでいます。と同時に、地球規模での水不足解消や災害対策など、世界各地での課題解決にも挑み続けています。また、鉄道車両用の試験装置や地震シミュレータの開発を通じて、新幹線の走行安全性向上や地震災害の軽減に取り組み、次世代社会の安全・安心を支えています。